田舎の事情
最近こんなネタばかりであれですが・・・;。
私が住んでいるところは、都会か、田舎かと聞かれれば問答無用で田舎に部類される場所です。
田舎と言っても「片田舎」です;。
田んぼのど真ん中なのではなく、大昔版団地です(集落です)。
ところで、よく田舎に行くと家の回りに木を植えている民家を見かけませんか?
家の北側、西側にけや木等の巨木なんかを。
その森の名称は知らないのですが、日本家屋には重要な森なのです。
まず、その話から(その森を便宜上『家森』と呼ばせていただきます)。
木造家屋の特徴としては、夏場の暑さや湿気から室内を快適にする為、風通しのよい造りをしています(隙間風ぴゅ―ぴゅ―な感じ)。その造りを活かし、更に風通しを良くするためにこの家森が必要とのことです。
北、西側に植えることで、家の北、西は日陰となりそこの気温が下がり、涼しい風が木々の風に乗って、家を通り涼しくすると言う効果をもっているそうです。
もう一つの特徴としては、冬場の風をしのぐととの事。
冬は気候上、北風・西風が強く吹きます。その風から家を守る為に植えられています。
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私情な事ですが、私の家にはその森があります。
西側に『けや木』が数本植わっています。
今住んでいる建物は木造平屋築云十年の家なのです。
木造なので、勿論”柱”があるわけなのですが、その柱にこの家森のけや木が一本使われているとのことです。大黒柱もそのけや木だそうです。
この話を聞いたのは結構最近の話しなのですが。
なにやら聞いた時に、物凄く心打たれました。
家森とこの家は持ちず持たれずの関係なんだなぁと思いました。
生まれたときからそこにドーンと存在していたけや木たちなのですが、今回伐採される事になったのです。
私の全然知らないところで話が進んでおり(そりゃそうだが)、今日から伐採が始まりました。
伐採の理由としては、落葉樹であるけや木は晩秋から冬にかけ大量の葉を散らします。その落ち葉が家の土地の中に全て降ってくれれば問題は無いのですが、そう言うわけにもいかず、ご近所さんの土地にも落ちてって迷惑になんているそうなのです。
父に反対を言ったところ、
父「どこかの代で切らなきゃならない木だから。俺の代で切らなきゃならないんだ」
と言われました。そりゃあ子孫に迷惑かけたくない気持ちは分からなくも無いですが・・・。
どうしても、切ってしまうことが嫌なのです。
数代前の家のご先祖さまが、この家が風に負けないように子孫の為に何処からか持ってきた木を植えたのだと思うと。なんだかとても寂しく感じます。
数代前では”家を守るための木”として植えられ、数代先では”切らなくてはならない木”として切られていく・・・。
なんだかあんまりだと思ってなりません。
私はどうも、こういう(自分の生活の視覚的環境が変わる)事にけっこう執着する方なので・・・;こんな事を思うのでしょうが・・・。
↑右が2006年9月の家森。左が今日の家森。ほぼ同じ所から撮影。
右側の木が今日から伐採され始めました。
↑下段左の写真と右側の手前の木は同じ物です。他は全て違う木です。
右下の写真の奥の枝を切られた木が、今日から伐採が始まった木です。半分以下の大きさになりました。
一応対比でショベルカーを写しています。
確実に今、伝統が失われつつあるということを実感しています。